このページのポイント
- 食品衛生法:日本における食品、添加物の基準・標準・検査等を定める法律、2021年から完全義務化。
- FDA:米国にて対象商品の販売・製造をする場合規定を満たし事前に登録作業などを行う必要がある。製造装置に使われるようなホースも対象。
- USP CLASS VI:プラスチック材料における最も厳しい規格。米国で流通する薬品製造に使用するホース、継手は適合が必要。
- RoHS2指令:特定有害物質の使用を制限するためにEU地域に輸出する電気・電子機器に組み込まれるホースは指令に適合している必要がある。
- BPOM規定:インドネシア国内の食品・医薬品の品質管理を行う機関。ホースについては食品包装に関する国家食品医薬品監督庁長官規定がある。
ホース配管にかかわる法規制、国際規格とは?
ホース配管で対応が求められる主な法規制、国際規格には以下のようなものがあります。
・日本厚生労働省 食品衛生法
・FDA (米国食品医薬品局)/FCM(Food Contact Material:食品接触材)
・USP(米国薬局方)CLASS VI
・RoHS2(EU:有害物質に関する規制)
・BPOM(インドネシア:国家食品医薬品監督庁)規定
それぞれの法規制、国際規格について解説していきます。
日本厚生労働省 食品衛生法
食品衛生法とは、日本において飲食によって生ずる危害の発生を防止するための法律です。食品、添加物などの基準・表示・検査等の原則を定めています。
食品衛生法は、2020 年6 月から全ての食品等事業者(食品の製造・加工、調理、販売等)に対して、HACCP による衛生管理の義務化が開始しています。2021年6月からは、1年間の猶予期間が終わって完全義務化となり、事業規模の大小にかかわらずHACCP 導入・運用が求められます。HACCP では、原料の受入から製造、製品の出荷まで、食品製造のすべての工程において、食中毒や異物混入などの健康被害を引き起こす可能性のある危害要因(ハザード)を分析し、科学的根拠に基づき管理します。
さらに、2025年からは食品用器具および容器包装に関してポジティブリスト制度が完全施行されます。ポジティブリスト制度とは、食品接触材料(器具や容器包装など)に使用される化学物質のうち、食品への安全性が確認された物質のみをリスト化し、それ以外の物質の使用を原則として禁止する制度です。事業者は、自社の使用ホースがポジティブリストに適合しているかを確認し、必要に応じて変更する必要があります。
参考:
食品衛生法の改正について|厚生労働省
食品用器具・容器包装のポジティブリスト制度について(2025年5月31日まで)|厚生労働省


食品衛生法第196号適合
ホース
ポジティブリストに適合しているホースの一覧です
FDA (米国食品医薬品局)
さてここでホースドクターから皆さんに問題です。

FDAは米国で製品の安全性や有効性を監督する政府機関ですが、以下カテゴリーの中でFDAの対象にあたるものはどれでしょうか。下記のA,B,Cからお選びください。
A. 医療機器
B. 動物用製品
C. ワクチン・バイオ製品

正解は A~C全部 です。
引っかからずに正解を答えることはできましたか?
FDAは非常に多くの製品に対し安全性の基準を設けています。
FDAは、食品、医薬品、動物薬、化粧品、医療機器、玩具などの安全性、有効性を確保するため、検査、承認審査、取締りなどを行っている、HHS(米国合衆国保健福祉省)の一機関です。
米国国内でFDAの対象商品の販売、製造する際には、FDAに対して事前に適切な通知や登録、許可などが必要であり、製造装置についても規定を満たしていなければなりません。製造装置に使用されるホースや継手も対象となります。
USP(米国薬局方)CLASS VI
USPとは米国で製造販売される全ての処方薬、市販薬、栄養補助材やその他のヘルスケア製品に関する規格を策定する機関です。中でもCLASS Ⅵは、非経口製剤の容器または付属品としての使用を意図したプラスチック材料の適合性を判断する最も厳しい規格になります。
米国国内で流通する薬品製造に使用されるホースや継手は、USP CLASS VIに適合していることが求められます。
RoHS指令(EU:有害物質に関する規制)
RoHS指令とは、EUにおける「人の健康と環境に対するリスク」に最優先の考慮を求めるため、電気・電子機器を対象に特定の有害物質の使用(許容濃度を超えて含有すること)を制限する指令です。2006年7月1日に適用開始されました。
その後2013年1月3日に改正適合された“RoHS2(改正RoHS)”では、カテゴリーが1つ追加され、更に修正が加えられた2015年6月4日には、制限物質に4種のフタル酸エステル類が追加されました。こちらの適用は2019年7月22日から始まりました。
EU地域に輸出される電気・電子機器に組み込まれるホースには、指令に適合したことが必要です。
BPOM(インドネシア:国家食品医薬品監督庁)規定
BPOM ( インドネシア:国家食品医薬品監督庁 ) は、インドネシア国内の食品及び医薬品の品質や安全性を管轄する政府機関です。法令に基づき食品及び医薬品の管理・監督を行います。
なお、ホースに関連する規定としては、BPOM が定めた以下の食品包装に関する規定が該当します。
・国家食品医薬品監督庁長官規定(HK.03.1.23.07.11.6664/2011)
■食品衛生法に適合しているかをご確認いただける選定表のダウンロードはこちら
弊社ではお客様のご使用条件に合った最適なホース選定やご検討の方に無料でお試しホースサンプルのご提供を行っております。
以上、ホース配管で対応がもとめられる法規制、国際規格を解説してきました。
上記のような法規制、国際規格に適合したホース、継手かどうか確認したい、直接相談したい場合はトヨックスお客様相談室までお願いいたします。
フリーダイヤル:0120-52-3132
Web 問合せは、こちら
製品の製造において安全性を確保するために様々な法規制、国際規格が存在します。ホース配管においても、製品が法規制、国際規格に関係する場合、規制・規格を満たすホース、継手の使用や、証明書類の提出を求められることがあります。特に海外で製品を製造・販売する場合、現地の規定を事前にきちんとおさえておくことが非常に重要です。
今回はホース配管に係る法規制・国際規格についてホースドクターが解説します。