このページのポイント
- 正圧(圧送)にはブレードホース!圧送時には、ブレードホースがホースの膨張や伸びを防ぎ、耐圧性に優れている。
- 負圧(吸引、バキューム)にはスプリングホース!吸引時には、スプリングホースがつぶれにくく、流体の流れを維持できる。
- 更に使用条件に合ったホースを選定することで、トラブル防止や生産性向上になる。
2種類の耐圧ホースとは?
トヨックス製ホースを高い圧力のかかる配管で使用する際は耐圧性能の高いホースを推奨しています。
工場などでホース使用時にかかる圧力は「正圧(圧送)」と「負圧(吸引、バキューム)」の2 種類があります。
この2種類を正しく理解することが耐圧ホースの選定では重要になります。
実際にお客様からの問い合わせでもホースの折れ・つぶれの原因の一つに「吸引用ではないホースで吸引している」ケースがあります。この記事で両者の違いを知り、適切なホース選定を行うための参考にしてください。
※ ここでは一般的な補強構造のホースを比較した場合での解説であり、全てのホースに対して保証するものではありません。

正圧(圧送)に強いホースは「ブレードホース」
試験結果を知る前に皆さんにホースドクターより問題です。

ホースに正圧(圧送)をかけた際にホースはどのような状態に変化するでしょうか?
下記のA,B,Cからお選びください。
A. ホースが伸びる
B. ホースが歪む
C. ホースが硬化する

正解は A. ホースが伸びる です。
外径変化が大きい場合のみ、縮む可能性もありますが、通常ホースは正圧(圧送)をかけると伸びてしまいます。
ブレードホースとスプリングホースは正圧(圧送)が加わった際、どう変化していったのでしょうか?
下記より説明します。
圧送の試験では、トヨロンホース19mmとトヨスプリングホース19mmを使用温度範囲の上限である60℃の環境にて、圧力による破裂試験を行いました。
スプリングホース(金属コイル補強)に正圧(圧送)をかけるとすぐにホースが徐々に捻じれながら伸び始め、圧力が2MPa でホースが破裂しました。対して、ブレードホース(糸補強)は、使用圧力範囲を超えたあたりから若干ホースが伸び始め、最終的には圧力が3.4MPaでホースが破裂しました。
このことから、圧送時には「スプリングホース」よりも「ブレードホース」の方が適していることが分かります。
正圧試験

※上記は同サイズで同条件で比較した場合の破裂圧を比較した場合の実験結果です。破裂圧を保証するものではありません。
ご使用の際は使用温度範囲・使用圧力範囲内でご使用ください。
圧送試験の結果は下記動画でもご確認いただけます。
負圧(吸引、バキューム)に強いホースは「スプリングホース」
負圧(吸引、バキューム)の試験も圧送と同様に、トヨロンホース19mmとトヨスプリングホース19mmを使用温度範囲の上限である60℃の環境において負圧をかけています。
ブレードホース(糸補強)は、吸引した瞬間につぶれてしまい流体が流れにくい状態になります。対して、スプリングホース(金属コイル補強)は、吸引してもホースがつぶれず、流体をスムーズに流すことができます。
このことから、吸引時には「ブレードホース」よりも「スプリングホース」の方が適しているということが分かります。
負圧試験

圧送試験の結果は下記動画でもご確認いただけます。
使用圧力、使用条件に合ったホースを使用する
ブレードホースは、正圧をかけた際にホースの伸びや膨れを補強糸で抑え、圧力に対し強さを発揮し、スプリングホースは、負圧をかけた際に硬い金属コイルでホースの形を保ち、ホースがつぶれることを防ぎます。圧送に対しては「ブレードホース」、吸引に対しては「スプリングホース」を使用してください。
他にも、ホースを選定いただく場合は、使用圧力はもとより使用条件(温度、流体等)に合ったホースを選定していただくことで安心安全なホース配管が実現できます。また、ホースを使用条件に応じ使い分けることでトラブルを減らし、生産性向上やコストダウンにもつながります。
弊社は保形性がありホースの折れ・つぶれ対策できる製品を各種ご用意しております。使用条件に合わせ下記商品一覧からご確認ください。

正圧(圧送)用ホース

負圧(吸引)用ホース
以上、スプリングホースとブレードホースの違いについて解説してきました。
その他お問い合わせ、ご相談はトヨックスお客様相談室までお願いいたします。
フリーダイヤル:0120-52-3132
Web 問合せは、こちら
耐圧ホースは、糸で補強している「ブレードホース」と、金属や樹脂コイルで補強している「スプリング(保形)ホース」の2 つに大きく分かれます。この記事では「正圧(圧送)」と「負圧(吸引、バキューム)」の違いと圧力の試験をもとに「ブレードホース(糸補強)」と「スプリングホース(コイル補強)」の違いについてホ-スドクターが解説します。